BINOS vol.16(2009)





BINOS vol.16目次
宮脇佳郎:三浦市三戸におけるオオセッカの越冬生態
【要約】
1 三浦市三戸の湿地において、2004年、07~09年の3月下旬~4月上旬にオオセッカのさえずりを確認した。
2 オオセッカはヨシ原などの茂みに隠れていることが多く、姿が確認されることは稀であった。
3 オオセッカはヨシのみの単調な植生ではなく、丈の低いヨシと冬枯れして密集したクサヨシの群落のある環境を選好していると推測した。
4 オオセッカの定期的な越冬地が全国でほとんど知られていないことから、早急に同地の保全を検討する必要がある。

こまたん・畑中優美:石川県輪島市で保護されたアオバトの換羽と行動
【要約】
 石川県輪島市で2005年9月18日に保護された保護アオバトの換羽と行動観察から次のことが明らかになった。
1 分類、集計から分かったこと
1)換羽は1年を通じて行なわれてピークは9月に集中して、少ない月でも年間の全採集枚数の3%はあった。
2)年間の換羽のピーク期の開始、終了、その日数は、保護飼育された個体であったが、2006年度~2008年度の3年間大きな変化はなかった。
開始日:8月22日~8月29日の8日間の範囲内で換羽ピークが開始した。
終了日:10月15日~10月17日の3日間の範囲内で換羽ピークが終了した。
換羽ピーク期の日数:48~56日間の範囲で平均51.7日間を要した。
3)1日あたりの最高換羽枚数(採集枚数)は2008年8月30日の79枚であった。
4)幼羽は生まれた翌年の換羽ピーク期まで持ち越すものがあった。
5)初列風切羽の換羽の進み方はP1~P10にかけて規則正しく進むが次列風切羽に関しては、規則性を確認できなかった。但し初列風切羽のP5の換羽完了後に次列風切羽の換羽が開始されるという規則性はあった。
6)初列風切羽P8の内弁の凹みは幼羽から成羽への1回目の換羽で形成された。
7)羽の伸長速度について、初列風切羽と尾羽では抜けてからほぼ元の長さになるまでの期間は30日~40日程度であった。
8)初列風切羽の換羽同時進行枚数は各翼最大で2枚であった。
2 羽の詳細計測から分かったこと
1)初列風切羽の成長の変化で羽弁の幅はP7までの成羽が広がりP8~P10までは逆に幅が少し狭くなっていく。
2)初列風切羽、次列風切羽の幼羽から最初の成羽への生え換わり時に羽の長さ全体は長くなるのに対して羽柄の長さが短くなる。この現象は次列風切羽の比率変化の方が大きかった。
3)初列風切羽、次列風切羽の寸法上の成長変化は、ともに生まれた年の翌年の換羽で完了する。
3 行動から分かったこと
1)保護飼育個体であったが、その行動が各地の野外でのアオバトとの比較でほぼ同一時期に行なわれていることが確認された。さえずりの開始と終了、ポポポ鳴きや尾振りなどの求愛行動、換羽ピーク期開始と終了などの観察と換羽の状態を重ね合わせることにより、繁殖期前の予知情報時期、求愛行動時期、繁殖期間、換羽期間、渡り開始時期などを類推することができた。

石井 隆:横浜市港南区における繁殖期のハシボソガラスとハシブトガラスの行動圏について
【要約】
1 神奈川県横浜市港南区日野中央においてハシボソトガラス3巣、ハシブトガラス1巣のつがい個体の行動圏を2008年3月~7月に調査した。
2 ハシボソガラスの行動圏は、9,244㎡ 9,822㎡5,778㎡であった。
3 ハシボソガラスは、公園やグランドなどオープンスペースを利用していた。
4 ハシブドガラスは、住宅地を中心とした場所を利用していた。
5 ハシボソガラス3行動圏とハシブトガラス1行動圏は、繁殖期以降7月まで維持されている。

小野 武・西田トミ子・市川ヤエ:小田原地区におけるヒヨドリの渡り(南下)の観察記録 第2報(2008年10月)

畠山義彦・樋口公平・原一利:カワラヒワの岩石採食行動について

山下信子・山下幸雄:サンコウチョウにおける雄化した雌個体の繁殖記録

宮脇佳郎・永嶋省吾:相模湾に面する三浦市の埋立地に訪れたシギ・チドリ類

金子精一・金子光江:相模川中流域で観察されたヒレンジャクのフライ&キャッチ行動

藤井 幹:野外における羽根の劣化についての事例

鈴木春樹:神奈川県におけるシマゴマ の初記録

石井 隆:繁殖期におけるハシボソガラスの就寝行動について

平田寛重:酒匂川におけるクロツラヘラサギの記録

日本野鳥の会神奈川支部:横浜市のカラス類の集団ねぐら調査

小林みどり・高寺啓子・谷 広子・小林慶子・脇田信雄:相模川中流域(磯部の堰~八瀬川合流点)における定線センサスの結果-2003年~2008年のまとめ-

日本野鳥の会神奈川支部:横浜市鶴見区大黒町でのコアジサシの繁殖状況(2009年)

二子山鳥類調査チーム:三浦大山林道におけるアオジ個体数の季節変化

加藤千晴:「身近な野鳥のヒナの見分け方」フローチャートの作成について

2008年の神奈川支部行事
2008年の保護研究部の活動

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執筆者紹介
後記

編集委員:秋山幸也・東 陽一・藤井 幹・藤田 薫・畠山義彦・浜口哲一・石井 隆 英訳・英文校閲:石田スーザン
表紙イラスト:ヒレンジャク(作画・デザイン 秋山幸也)