BINOS vol.20(2013)



 BINOS vol.20 目次

田淵俊人:玉川学園におけるチョウゲンボウのヒナの巣立ち
Toshihito TABUCHI:Fledging of Kestrel Falco tinnunculus chicks at Tamagawa Gakuen
 

<要 約>
 1987年から2013年までの27年間に渡り、東京都町田市、神奈川県横浜市青葉区、および川崎市麻生区にまたがる多摩丘陵南端の人工建築物で集団繁殖したチョウゲンボウのヒナについて、ヒナが巣立つ様子を調べた。さらに、人間に保護されたヒナをどのようにして放鳥すべきかについても調査した。結果は以下のように要約される。
1 巣立ちに適するヒナの大きさは、親鳥とほぼ同じ大きさである。
2 人工建築物に営巣した場合、人工建築物のパイプから外に出てくることが即ち、巣立ちであるとみなすことができた。
3 巣立ちの時期は、27年間平均で6月24日前後で、時間帯は午前中の8:30から10:00に集中し、午後には認められなかった。
4 27年間を通して、巣立ち日の約7日前になると、親鳥はヒナに対して給餌行動をやめた。
5 人工建築物のパイプから出たヒナは30分程度で飛翔して上空を舞う個体と、降下して一旦、木々の茂みに身を隠す個体があった。
6 巣立ったものの、飛翔力にやや欠けるヒナは、降下して植木の間に身を隠し最低3日間は親鳥から給餌を受けた。
7 「やむを得ない事情」により、人間に保護されたヒナは、軍手やゴム手袋を着用し、段ボール箱の上蓋を閉めて落ち着かせてから、保護された地点に持って行って放鳥するのが望ましい。
8 チョウゲンボウのヒナが巣立つ条件として、営巣場所の前面が開けていることが必要である。このことはチョウゲンボウの繁殖場所を決める要因になると推察される。



石井 隆・葉山久世・加藤ゆき・篠田授樹・池内俊雄・松本令以・萩原康夫:
河口湖で野生化していたカナダガンの袋網を用いた捕獲の記録

Takashi ISHII, Hisayo HAYAMA, Yuki KATO, Sazuki SHINODA, Toshio IKEUCHI, Rei MATSUMOTO and Yasuo HAGIWARA: Record of catching introduced Canada Geese at Lake Kawaguchi with tunnel nets

小野 武・西田トミ子・戸井田伸一・勝呂尚之:酒匂川におけるカワウの観察記録
Takeshi ONO, Tomiko NISHIDA, Shin-ichi TOIDA and Naoyuki SUGURO: Observation records of Commom Cormorant at Sakawa River

宮脇佳郎:三浦半島におけるオオムシクイ Phylloscopus examinandus の記録
Yoshio MIYAWAKI: Records of Kamchatka Leaf Warbler Phylloscopus exaninandus at Miura Penninsula

大浦晴壽・佐々木祥仁:横浜自然観察の森におけるセグロアジサシ Sterna fuscata の観察記録
Harutoshi OURA, Shojin SASAKI: Observation records of Sooty Tern Sterna fuscata at Yokohama Nature Sanctuary

大浦晴壽:横浜自然観察の森におけるブッポウソウ Eurystomus orientalis の観察記録
Harutoshi OURA: Observation records of Oriental Dollarbird Eurystomus orientalis at Yokohama Nature Sanctuary

清水海渡:神奈川県立津久井湖城山公園で見つかった捕食されたムササビの幼獣について
Kaito SHIMIZU:Notes on a preyed upon juvenile Giant Flying Squirrel Petaurista leucogenys found at Shiroyama Park , Lake Tsukui, Kanagawa Prefecture

青木雄司・藤井 幹・秋山幸也:ヤマカガシを吸血するヤマビル
Yuji AOKI, Takashi FUJII and Koya AKIYAMA: Land Leech Haemadipsa zeylanica sucking blood of Tiger Keel Rhabdophis tigrinus

丸岡禮治:仏果山の定線センサス13年間のまとめ
(2000年~2012年)
Reiji MARUOKA: Results of fixed course census for 13 years at Mt Bukkasan (2000-2012) 

BINOS総目次